新しい10月からのサービス
まずは診断から始めます!
はじめに
認知症は避けられるのでしょうか。かなり、ハードルの高い話なのでしょうか。確かに突然訪れる不運かもしれません。ただ、身体疾患によって引き起こされる認知症の悪化もあり、この代表が糖尿病などの内分泌疾患であることも多々あります。その対策は日々の診療を我々は努めてきました。
認知症という敵には手を出しかねて、原因対策ではなく介護を中心とした福祉からアプローチが認知症には打たれてきました。その矢先、極々初期のアルツハイマー型認知症に点滴薬が上梓され、選ばれた医療機関で治療がはじまりました。
しかしながら、認知症を患う患者さん、特にこの治療を受ける可能性がある患者さんの数は本当に想像できない数に上回ると思われます。
そこで、まず治療の可能性のある患者さんのリストアップに参加して、横浜市港北区など横浜市北東部の患者さんをその診断のための第一歩を始めようとするものです。
介護の解決ではなく治療可能性のある方に、その道筋を示したいとの考え方です。
老年科専門医としての立場としての認知症への取り組みであり、今後、脳神経内科専門医の協力についても計画中です。
認知症治療は現在、認知症学会を中心に老年医学会、脳神経内科学会、脳神経外科学会でその先進治療が行われつつあるものです。
意外ですが、日吉を中心とした横浜市北東部では何故かクリニックで初期認知症を何とか介護(Care)でなく治療(Cure)しようとする在野の医療機関はありません。
そこで、僅かながらそのトライアルを計画するものです。
日吉 八木医院 老年科専門医 薬師寺史厚
認知症外来の概要
完全予約制(電話予約) 実施日 水曜日(休診日を除く)
※当日は本人にご家族が必ず同伴しての来診をお願いします。
(本人だけの来診はお断りいたします)
1日目 11:30~
2日目 12:30~ (1日目に予約)
1日目の概要
1.問診
2.認知症の検査
3.血液検査
糖尿病 脂質 甲状腺機能 肝機能 腎機能 等
2日目の概要(翌週以降)
検査結果説明と必要な画像検査を含めて高度医療機関紹介
血液検査結果で治療が必要な方には、内分泌・糖尿病・代謝専門外来紹介
概算費用
費用負担額 | 1割負担の方 | 2割負担の方 | 3割負担の方 |
---|---|---|---|
1日目・2日目合計 | 3,000円 程度 | 6,000円 程度 | 9,000円 程度 |
予約方法
日吉 八木医院
電話 045‐561‐2095
予約受付(火・水・金・土曜日 午前中のみ)
必ず「認知症外来の予約」とお申し出ください
予約可能な枠は毎週水曜日 11:30~ の1枠です
※当日はご本人にご家族が必ず同伴しての来診をお願いします。
(ご本人だけの来診はお断りいたします)
注:当院は訪問診療は行っておりません
また、介護ステーション等施設もございません
認知症について
認知症の発見は本人が物忘れを訴えたり、家人が患者さんを見て、認知症を疑うことにより始まることが多いところです。ただ、人間は歳を重ねることによって少なからず「物忘れ」や記憶の衰えを感じるものです。
これらの症状は必ずしも病的であるとは限りませんし、本人の感じ方と他人の感じ方は異なるものです。
いずれにしても、できる限り病状の進行の停止なり改善も目指すものでなければなりません。
認知症についていえば現時点では、少なくとも病状の改善が得られる疾病の種類と進行の度合いを測る必要があります。そこで行う検査は心理検査と画像検査が必要になります。
現在の認知症の治療にあっては、患者さんと家族の皆さんが認知症であることを認識している状況でないと、少なくともアルツハイマー病の新薬などの適応は難しいと思われます。
それと重要なことは認知症以外の疾病の治療は継続していかなければなりません。
では、新薬に該当しない患者はどうすればいいのでしょうか?これが認知症をケアを中心に理解し、患者さんや家族を支えていく治療と看護が必要になってきます。
しかしながらこれは当院の目的ではありません。
その中で、不幸にして病気の進行が進めば、現在の医療と福祉の世界では在宅治療等が必要になっていくのかもしれません。
認知症の分類
主な認知症
認知症を原因別に大きく4種類に分類できます。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4つです。さらに、治療がはっきりしていて、認知症の症状を示す、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、正常圧水頭症があります。
血管性認知症
歩く速度が遅くなったり、歩幅が狭くなったりする歩行障害や無気力になり、引きこもりになど意慾の低下がある。
ろれつが回らなくなったりする構音障害や飲み込みがうまくできなくなったり、むせたりする嚥下障害、記憶を思い出すのに時間がかかることや、手足のしびれ、麻痺などの巣症状や排尿障害がある。
血管性認知症とは比較的に男性に多く、認知症患者の約2割を占めている認知症で、脳の血管障害によって生じるため、認知機能がまだらに保たれていることが特徴です。
特定の分野のことはしっかりと認識できるにもかかわらず、ほかのことはできないなどの特徴から「まだら認知症」とも呼ばれています。
血管性認知症の原因は、脳出血や脳梗塞など脳内血管に起こる何らかの障害とされています。CTやMRIなどが、有効。心臓疾患の管理、血圧の管理や糖尿病管理が重要です。
脳細胞の欠落を起こす脳梗塞や、脳出血の場合は脳内血管が破れて出血して脳細胞が圧迫され血管性認知症が発症します。
アルツハイマー型認知症
「もの忘れ」で認識される事が多いが、自分の行動自体を忘れて覚えていない、忘れたことがわからないなどの症状を示す。
ちょっと前の出来事を覚えらず、行動の計画、やるべきことを順序立ててできなくなる
怒りっぽくなったり、性格に変化が出てきて、自活が難しく、日常生活でサポートが常に必要になる。失禁がおこり、外出して帰宅できなくなるため、いわゆる徘徊が起きる。
アルツハイマー型認知症は、認知症患者の約半数を占めているとおもわれ、脳の神経細胞が変性して一部が萎縮していく過程で発症すると言われる。女性の比率が高いのが特徴。
脳の神経にある種の不要なたんぱく質の一種である「アミロイドβ」などが蓄積することが原因と言われ、初期においては有効といわれる抗アミロイドベータ薬が登場し、病気の進行を防ぐ効果が言われています。発症後は比較的ゆるやかに進行していく点が特徴です。
レビー小体型認知症
認知機能の低下はアルツハイマー型認知症と似ているていますが、人に関わる幻視、幻聴、「知らない人がいる」「枕元に子どもが座っている」などの症状が出はじめます。
レム睡眠異常がいわれ、睡眠時の異常運動がみられます。
足がもつれる、歩幅が狭くなる、
身体が固まりやすくなったり、手が震えたりするパーキンソン症状をしめします。
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症の次に患者数が多いとされる認知症です。脳の神経細胞が減少することで発症し、40歳頃から症状が現れる方も。男性の発症リスクは女性の約2倍と言われます。
レビー小体と呼ばれるたんぱく質のかたまりが、脳の神経細胞を壊すことで起きます。レビー小体は脳に限らず全身の神経細胞に現れるため、大脳皮質にできるとレビー小体型認知症、脳幹に増えるとパーキンソン症状を示します。この神経細胞の破壊は心臓の交感神経でも見られるため、MIBG心臓シンチなどが診断でつかわれます。
レビー小体型認知症は進行の早さが特徴で、アルツハイマー型認知症や血管性認知症と比べても進行速度が速く、発症後の平均寿命も短いです。
前頭側頭型認知症
社会規範から外れた万引きや無断賃借や意味なく何度も同じコースを歩いたり、決まった時間に同じ行動をとったりする常同行動をとります。
同じ言葉を繰り返し、言葉自体が短くなり、単語数が乏しくなる言語障害、すすめば、自発性が乏しくなり、抑うつ状態になります。
前頭側頭型認知症は若年層に起こりやすい認知症で発症年齢は55歳前後と言われており、国の難病になっています。
画像からは前頭葉や側頭葉の萎縮明らかで、前頭葉は人格や行動の変容を起こします。
側頭葉は言語中枢があり、部位萎縮がはじまると他人の言葉の意味がわからない言語理解がてきなくなったり、自発言語も障害されます。
進行速度は人それぞれですが、進行につれて初期の異常行動がから、徐々に無気力になり、発症してからの余命は平均6~9年です。
治療が期待できる認知症
治療が期待できる認知症3種を示すと慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、正常圧水頭症だとおもいます。これらは、血液検査やCT、MRIで診断され治療で、改善が望めます。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血種とは、よく頭を強く打った直後特に症状なくて、1~2ヵ月かけて脳と硬膜の間にわずかな出血が溜まってしまって、もの忘れや精神症状、歩行障害などが現れます
血腫吸引手術を行うことで症状の改善が図れるいわば二次性の認知症状態です。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、元気を失い、ときに心不全や脳代謝の低下を示し、認知症と同じような状態を引き起こします。
甲状腺ホルモンの状態は採血でわかります。甲状腺ホルモンの補充療法によって症状の改善されます。
正常圧水頭症
脳内脳実質の隙間は脳室と呼ばれ、通常適正な髄液がはいっていますが、過剰に脳脊髄液が溜まってしまうことで水頭症を発症して脳に圧迫がかかる状態で、髄液圧が上昇しない程度のとき正常圧水頭症となります。歩行障害や軽い認知機能の低下、尿失禁などの症状が現れまますが、「髄液シャント手術」を行うことで改善が期待できます。
検 査
認知症については心理検査とCT・MRI・SPECT・シンチグラム等必要な画像検査を進めて認知症の原因を分けていきます。
最近アルツハイマー病の初期の患者様に対して抗アミロイドベータ―抗体などが開発されつつありますが、新薬の適用はアルツハイマー型認知症かつ初期の患者様しか適用はありません。該当する患者であるかの判別のために専門医療機関にご紹介をいたします。
心理テスト
認知症の評価のための心理テストでは大きく分けると2つになります。
それは、認知の問題を物忘れといった記憶に関するものとしてとらえるか、それ以外の要素を考えるかということになります。
記憶の状況を含むものとして長谷川式認知度検査は有名です。これはご存知の方も多いと思います。 さらに複雑化したMMES(Mini-Mental-State Examination)があります。MMSEは時間に関する見当識、場所に関する見当識、聴覚言語記銘、注意と計算、再生、呼称、複唱、理解、読字、書字、描画の検査になります。
MMSEは多くの言語に訳されていることもあり通常の認知症の評価ではよく用いられ、特に軽症の認知症の発見に役立つようです。
そのほかには、時計の問題があります。時計は自発の時計と模写の時計で、記憶によらない方法での認知症の検出が云われています。
当院ではMMSEと時計の方法を実施しています。多くの場合、長谷川式はポピュラーでありますが、アルツハイマー型認知症治療薬の適応でMMSEが求められています。それと記憶によらない時計を行っています。
重要なことは,認知症の診断のためには心理テストと、当然画像診断を行う必要があります。
画像検査
画像検査は心理検査と同じように重要です。
残念ながら当院でCT、MRI、シンチは不可能です。
そのため、今回、医療機関連携を含む外来の提案になっています。
MIBG心シンチグラフィー(MIBG Scintigraphy)(心シンチ検査)
MIBGシンチグラフィー(略せばMIBGシンチ)は、全身に分布している交感神経を映し出すシンチです。神経疾患例えばレビー小体型認知症やパーキンソン病では交感神経の障害が心臓にある交感神経に早期に障害します。このため、MIBG心シンチ検査は、レビー小体型認知症の診断にも重要です。
2回の撮影が検査開始から3-4時間後になるため、撮像のため半日はかかります。
血流SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査(スペクト検査)
脳の血流をみる検査で、例えば脳梗塞の起きた脳の部位では血流低下が低下しているのがわかります。さらに脳の血流低下は脳機能の低下を示すことがあり、認知症などでは脳の障害部位をみることによって認知症の類別などに有効です。
脳MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査
脳MRI検査では脳浮腫、能梗塞、脳腫瘍、脳出血、脳委縮などの病変をとらえます。
明らかな変化は部位によっては認知の低下の原因に検索に有効です。
この分布によってアルツハイマー病の診断に有効な結果が得られることが多い。
脳内アミロイドPET(Positron Emission Tomography)画像検査
アミロイドベータに結合するフロルベタビル(18F)薬をPET(Positron Emission Tomography, 陽電子放出断層撮影)で感知して、アルツハイマー病で見られるアミロイドベータの検出ができる。アミロイドベータの存在は、現在使用が開始されている抗アミロイドベータ薬(アルツハイマー病への新薬)の適応の可能性が示される。